広島県福山市にたつ、県営日吉台住宅の建て替え計画です。

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1970年代に建設された日吉台住宅は街を一望できる南向きの傾斜面に立地し、約20棟からなる5階建ての住棟が一定の隣棟間隔で整然と建ち並ぶ団地です。様々な世帯が入居していますが、住居内外のバリアフリー化や世帯構成に応じた住宅の規模、設備等の見直しを図るため、新しく建物を整備することになりました。設計においては、敷地内にあるひな壇状の地形を活かすこと、既存の5棟を3棟以下に再編すること、1DKから4DKの間取りで90戸を計画することが求められました。

私たちは、中庭型の住棟を既存の段差をまたぐように配置し、中央に大きな空地を設けることで、今後建て替えが進む団地エリア全体に周囲の自然環境を引き込むことを考えました。住棟はひな壇の高低差をならしながら2階から5階へと断面的に変化させ、住棟を通じて住民がバリアフリーに移動できる構成としています。

住戸は奥行きが浅く間口が広い平面計画により明るい住環境をつくり、部屋に隣接する通り庭によって風通しの良い住まいを提案しています。住戸構成は異なる住戸タイプをあえて混在させることで、多様な世帯が隣り合い、自然な交流が生まれることを意図しています。

ところどころに空いた通り庭からは、光や風、四季の移ろいといった様々な環境が通り抜け、そこに暮らす人々の生活感が柔らかく溢れ出ます。ポーラスな建物により団地全体を緩やかにつなぐことで、街と呼吸するように、地域とともに日々の暮らしを育んでいく新しい日吉台住宅を目指しています。

敷地：広島県福山市／ 用途：公営住宅／ 敷地面積：6674.30m2／建築面積：2000m2／延床面積：4900m2／構造・規模：RC造 地上5階 ／建築：SYnK／構造：平岩構造計画／ 機械設備：イーエスアソシエイツ／電気設備：環境トータルシステム／積算：二葉積算